麦秋至(むぎのときいたる)
先日隣町へ買い物に出かけたとき、道路の脇の田んぼが一面黄金色になっていた。よく見ると麦畑になっていてそろそろ刈り入れの頃となっている。今の時期、周囲は新緑一色となってこれから成長しようとしているのに、この一面だけが黄金色になって終盤を迎えている様子にちょっと違和感を持ってしまう。
黄金色は秋の色という概念が刷り込まれている私にとっては、新緑の季節に秋の色があることに戸惑ってしまう。昔の人も同じように感じたのだろうか、この時期を表す言葉にあえて戸惑いの思いを込めて秋の字を入れて麦の秋(麦秋)と名づけたセンスは秀逸だ。
24節気では今は小満にあたるが、72候では24節気をさらに初候、次候、末候の3つに分けてそれぞれの候を身近な自然現象で表している。5月31日からの5日間は72候では小満の末候に当たり、これを表す自然現象は「麦秋至(むぎのときいたる)」となっている。
ちなみに、5月30日までの5日間は小満の次候でこれを表す自然現象は「紅花栄(べにはなさく)」となっている。
20日前の麦畑はまだ青々としていて周囲との違和感はなかったが、最近の麦畑は一気に秋の色になってしまっている。